2022年秋のことになるが、このブログの管理人は突然訪ねて来た外国の方に車(=スバルインプレッサWRX STI)を売ったことがある。
外国の方はいわゆる中古車ブローカーで、お顔立ちから中東とか南アジアの方と思われた。来日10年、中古車買取業を営んでおられるとのこと。お名刺も頂いた。
来日10年というわりには、失礼ながら日本語はたどたどしく、日本語での意思疎通は難しかった。
あなたの持っている車(=スバルインプレッサWRX STI)が海外で大人気、ぜひ売って欲しいとのこと。
散々迷った私は、彼にスバルインプレッサを売却した。この記事はその体験記となる。
売買の結果を書くとトラブルはなかったし、支払いもされた(ただし、受取時に詰めが甘かった=後述)。
稀有な経験ができて良かった、とも思った。
この記事は、外国の方に車を売ろうか迷っている方に向けて発信はするが、外国の方へ愛車の売却をおすすめする内容ではない。
また、最大のネックであろう売却時、売却後のトラブルを完全に防止する指南記事でもない。
このブログの管理人は自動車売買の専門家ではないし、法律の専門家でもない。あくまで2022年の時点で、中東とか南アジアの方と思われる外国の方に車を売却した一個人の体験談だと理解した上で読み進めて欲しい。
まずはこの記事を読む方が一番知りたいであろう売却時に個人として注意した点を書き、外国の方に売却した理由、売却当日までの流れ、記事の最後にはあくまで私の視点でのメリット、デメリットを記した。
この記事が外国の方から車を売ってくれと言われて悩んでいる方の、微かな参考にでもなれば幸いである。
どんな車を売ったのか?
売った車は初年度登録が平成16年(2005年)のスバル インプレッサ(IMPREZA)WRX-STIのスペックC、17インチタイヤ仕様車で、排気量1994cc、MT6速、車体色はブルーM、馬力が280psとなる。
インプレッサ界隈では通称・涙目(なみだめ)と呼ばれるタイプのもので、販売当時の新車価格が350万円弱となっている。
売った当時の走行距離は12万強、修復歴はなし。
なぜ外国人に売却したのか?
理由は3つ、以下に記す。
1-車検が間近でタイミングが合った
スバル インプレッサはもう何年も乗っており、車検まで一ヶ月を切っていた。買い替えようか、車検を通すか、ずっと迷っていたのだ。
そこに外国人から買い取りの打診が来て、乗り換えの後押しをしてもらったような感じとなった。
2-買い取り提示額が一番高額だった
今回、愛車であるスバル インプレッサを売却して乗り換えると決めて、3社に買い取りの見積もりを取った。
- 地元のスバル販売店→35万円
- 地元で一番大きい買い取り屋→75万円
- インプレッサの買い取り専門店(=かなり遠方で売却時は自走で運ぶ必要あり)→年式グレードから90万円が最高値でそこから減点して、だいたい70万から60万円に落ち着くことが多い、とのこと。
外国の方は一番高額の95万円を提示してくれた。
「地元で一番大きい買い取り屋」さんの提示してくれ75万と、外国の方が提示くれた95万、その差20万ある。差額の20万円、大金だが売却後のリスクを考えれば、「地元で一番大きい買い取り屋」さんに売るべきかもしれない。
しかし、20万円はやはり大金だった。熟慮した結果、リスクを承知で外国人の方に売ることに決めた。
3-好奇心もあった
自動車の個人売買は未経験だったし、しかも外国の方との売買に対し、好奇心が感もあったことも否めない。
外国人に車を売却する前にした3つのこと
売却後のトラブルを避けるために以下5つのことを実行した。
1.一時抹消登録してナンバーを外した
売却前日に一時抹消登録をした。
自動車のナンバープレードは自宅で外し、そのままナンバーを持って管轄の運輸局に出向き、一時抹消登録の手続きをした。
2.相手の身分証明(運転免許証)をコピーした
万が一トラブルが起きた場合に備えて、外国人の方の身分証明書(運転免許証)をコピーさせてもらった。コピーは自宅のプリンターで行った。
外国の方は「私はまじめに中古車買取業を営んでいるよ!怪しくない!」と、身分証明書のコピーにはかなりお腹立ちだった。
場の空気は悪くなったが、ここは自分のためにも相手の怒りを押し切り、コピーさせてもらった。
3.記念撮影と称して相手の顔を撮影した
売却すると約束した時に、記念撮影と称し、車を背にして私と外国人二人が並び、握手しているツーショットをさりげなく撮影させてもらった。
写真の撮影には特にお怒りでなく、和やかに撮影させてもらった。
自動車の売却時に外国の方から求められたこと
「ナンバーを付けたまま売って欲しい」断りました
ナンバーを付けたまま、公道を走って帰りたい。登録の抹消は私達が手続きする、と言われたが強く断った。
ナンバーに関しては前述の通り、売却日前日に自分で外した。
「確かに売る確約書にサインして欲しい」書きました
売却が決まった時に、前金として10万円を受け取った。確実に売る確約が欲しいので、念書的な書類にサインを欲しいと言われた。
相手が用意した契約書類があるわけではなく、あなたから10万円受け取りました、この車はあなた必ず売ります的なことを自分でサッと書き、自分でサインして手渡した。
「冬タイヤもあったら引き取りたい」お譲りしました
冬タイヤもあったら欲しいと言われたので、お譲りした。
ファーストコンタクトから売却までのドキュメント
突然の訪問
日曜日の午後だっと記憶しているが、チャイムが鳴り、対応すると「ムラノモノデス」と大声で言われた。
なんだ?と違和感を感じながらも対応すると、冒頭に書いた通り、中東とか南アジアと思われる外国人の方が立っていた。
外国人は私のことを盛んに「社長、社長」と呼び、車を売って欲しいと言ってくる。車検間近で手放そうか、どうしようかと迷っていた私は、すごいタイミングだなと思いつつ、とりあえず話を聞いてみることにした。
200万でも300万でもOKだよ
この車(=スバルインプレッサ)は海外で大人気、欲しい人がたくさんいるから、いくらでも出す。社長が売ってくれるなら200万でも、300万でも出すよ、とのこと。
本当かよ?と思いつつ、話を聞き、名刺を受け取り、検討すると言ってその日はお引き取り頂く。
売却時の値段を電話で確認したら即日引き取りにやって来た
検討した結果、インプレッサを売り、乗り換えることは決めた。この時点で、売却先はまだ決めていない。
そこで前述した通り、3社に買取価格の見積もりをお願いした。最高額が地元で一番大きな買い取り屋さんの75万円。
外国の方が提示しくれた200万でも300万でも出す!には及ばない。そこで外国人から受け取った名刺に書かれている電話番号に電話する。
200万でも300万でも出すは本当か?というと、本当だとのこと。ただ、日本語でコミュニケーションがとれない。あやしい会話のまま一旦電話を切る。
と、その数時間後、外国の方がキャリアーに乗ってやってきた。彼はもうインプレッサを持って帰る気だった。
売る準備ができてないよ、と思いながら売却額をハッキリさせようと交渉を開始する。
200万円でもOKのハズが95万円に落着する
外国人の方は、社長はいくらなら売ってくれる?の聞いてくるので、思い切って200万と言ってみた。すると、それは無理だよ社長!と言われる。あれ?話が違う?と思いながら150万なら?と言っても、社長無理だよ、いじめないでと言ってくる。
外国の方は車を細かく見ながら「社長、95万なら大丈夫!」と言ってくる。
こちらも200万円で売れると、皮算用をしていたが、それでも見積もりの提示額は一番高い。
相手にOKを伝える。
前金10万円を念書と引き換えに受け取る
相手は前金として10万円を差し出してきたので、受け取った。その10万円と引き換えに「必ずあなたに売ります」旨の念書を書いて、差し出した。
残金は85万円だと念押しして、交渉は成立した。
前述した写真撮影、身分証(運転免許証)のコピーはこの時に敢行した。
インプレッサSTIの売却日の前日
前述したので繰り返しになるが、管轄の陸運局にて一時抹消登録の手続きをした。その日は、車検切れの5日前だった。
ナンバーを外したので、もう公道は走れない。インプレッサさようなら、だ。
市役所にて仮ナンバーを発行してもらう
売却当日、待ち合わせの場所は家から1分もかからない大きな駐車場のある公園を指定した。
公道を走れるようにするため朝一番で市役所に行き、仮ナンバーの申請した。
使用目的、自動車の運行予定ルートを細かく聞かれた。さらに仮ナンバーを有効期限内(5日間)に必ず返却するよう念押しされる。
それから待たされることもなく、15分程度で仮ナンバーを取得できた。
時間通りにやってきた外国人は一転して無愛想だった
仮ナンバーをインプレッサにネジで止めて、家から1分程度の公園まで自走で行く。
仮ナンバーを外して待っていると、外国人の方はキャリアカーを運転してほぼ時間通りにやってくる。
僕のことを社長、社長と呼び、やたらと愛想の良かった外国人の彼だが、今日は一転して怒ってる?と思うほどに無愛想だった。
無愛想な彼は黙々とこちらの車(=インプレッサ)をキャリアカーに積み込む。現金の受け渡しが先でしょ?と思いながらも、私は彼の無愛想に気後れを感じ、何も言えなかった。
外国の方が車を積み込み、もう帰る準備が終わった段階で、やっと現金の受け渡しが始まる。
最後の最後でまさかの値引き交渉
お金を無造作に渡され、数えると83万円しかない。約束は95万円、前金として10万円を受け取っているので、残金は85万円のはずだが、2万円足りない。指摘すると出張料と言われた。前回も前々回も来てるし、ガソリン代も高速代も大変だよ、社長助けてよと言われた。
彼の目は笑っていない。そもそも売り物の車はもう相手の掌中にある。自動車をキャリアカーに積み込む前に現金を受け取るべきだった。これ以上何を言っても無駄だろうと思い、足りない2万円は勉強代だとわりきり諦める。
83万円はこちらがお金を数えない前提で無造作に手渡したのだろうと感じたし、交渉相手として日本人(=僕だけ?)は舐められているんだろうな、思った。
売却日当日に不必要だった書類
売却日当日に自動車の売買に今後必要だろうと思い「譲渡証明書」「委任状」を作成して持参したが、必要ないと言われたのでそまま持ち帰った。
売却終了
市役所に仮ナンバーを返却し、売却は終わった。
最後の最後に値引きされるという想定外のハプニングもあったが、それでも見積もりを取った中では一番の高額で売れたので、売買は一応成功と言っていいだだろう。と、思いたい。
外国人に車を売ったメリット
1,一番の高値で売れた
3社に買い取りの見積もりをお願いしたが、外国人が提示した額が一番高値だった。
2,つたない英語でも通じることが分かった
交渉は基本日本語だったが、英語だけで行う場面も多々あった。私は英語がまったくダメなのだが、学校で習った英語のかすかな記憶がよみがえり、英語で会話した場面も多かった。
俺って英語できるじゃんと妙に感心してしまった。
3,外国人との交渉の難しさを知った
たくましさ、肝の据わり方、そして執着、すべてが敵わないと思った。日本人相手では感じることがない交渉の難しさも実感することができた。
負け惜しみではなく、いい経験になった、と思った。
実際に外国人に車を売ったデメリット
1,トラブルのないように売買するための事前調査が大変だった
なにせこちらは自動車の売買に関しては素人。どうすればトラブルなく売買できるかを調べ続けた。
外国人の方に初めて会った時から、売却するまで2週間ほどあったが、その間は落ち着かない日々だったというのが偽らざる気持ちだ。
2,売却後に発生するトラブルの心配も当分は続く
ナンバーのない状態でドライブでもされ、事故でも起こされたら困るなぁとか、思っていたがそんなトラブルはなかった。
思っていたより車の状態が悪いので返金して欲しいなどの金銭にまつわるトラブルもなかった。
彼も日本で中古車売買をしている以上、日本の法は守るだろうとは思っていたが、微かに不安はあった。一定期間が経過し、何もトラブルが起こらず安心したというのが正直なところ。
まとめ
最後の支払いでもめたが、結果としては見積もりを取った中では一番の高値で売れたので良かった。
自動車の個人売買の相手が外国人の方、という稀有な経験もできた。
冒頭にも書いたが、この記事は決して外国人の方に車を売ることを推奨するものではない。
推奨はしないが、外国人に車を売ってくれと言われたら検討する価値はあるかもしれない。ただし、YES、NOを強く言えるタイプの方でなければ売るべきではない。
加えて、心配性の方は売るべきではないと言いたい。かくいう私も心配性なので、心配性の方の気持ちがわかるからだ。彼らは故国を離れて日本で稼ごうと必死だ。そんな彼らを相手にするからには、こちらも腹を据えなければ、相手のいいようにコントロールされて終わるだろう。もし、外国人に車を売ろうか迷っている方が読んでくれたとしたら、自戒を込めこの点をアドバイスとしたい。
売却時にこの車はどうするの?と聞いたら、来週には船に載せて外国だよと言っていた。僕のインプ、海外でも新しいオーナーと共に元気に走って欲しいと願うばかりだった。